公認会計士が行う監査に対する監査報酬について
金商法監査・会社法監査等の法定監査(任意監査も含む)等に対する監査報酬額について、日本公認会計士協会の監査実施状況調査参考資料によると平均監査報酬額は2014年度から直近の2021年度まで増加しています。(https://jicpa.or.jp/specialized_field/files/0-99-0-4-20230217_2.pdf)
その内容を確認すると、監査時間が増加していることに起因しています。監査時間が増加することは監査報酬の増加に直結しますので、監査時間を減らすことが監査報酬を抑えるポイントとなります。しかし被監査会社から、監査法人側の作業時間を増加させることはあっても減少させることは容易ではありません。
そこで被監査会社は、
Ⅰ.監査法人がどのような作業をやっているかを理解する
Ⅱ.既に内部で作成している資料を監査法人に活用させる
Ⅲ.例年とは異なる事象が生じた場合、その都度迅速に共有する
ことで監査時間を減少させる(監査報酬を増加させない)ことは可能です。
Ⅰ.監査法人がどのような作業をやっているかを理解する
→監査法人がどのような目的でその作業をやっているかを理解することで、余計な資料の準備・提出・質問をさせないができようになります。
今期の監査で使用しない可能性が高いが、過去から依頼しているから一応依頼しておくか。。。として依頼してくる場合も0ではありません。なぜならば資料依頼リスト更新の担当は新人がやることも多く、依頼資料が不足して先輩や主査に怒られるのが嫌でとりあえず過年度と同じなら大丈夫か。と判断することが数多く発生しています。新人の多くはその依頼資料の目的を理解していないことが見受けられます。目的や作業を知れば、既に提出した資料で新たな資料の準備・提出・質問(回答)を代替できるかもしれません。
Ⅱ.既に内部で作成している資料を監査法人に活用させる
→監査法人の作業の多くは前年同期又は前期末との増減分析からスタートします。社内で会議をはじめとした報告用に作成した分析資料があるかと思います。その報告資料は前年同期又は前期末との増減資料で、増減コメントが記載されていることが多くです。当該報告資料(データ)を提出すれば、一から監査法人が分析データを作成する時間を削減させることが可能です。また増減コメントが記載されていれば、監査法人からの質問(回答)数も減らせることができます。
Ⅲ.例年とは異なる事象が生じた場合、その都度迅速に共有する
→監査法人も同様に、当該事象に対して検討を行います。検討時間が短ければ短いほど、しっかり検討しなければならないため人員を多く割り当てます。そうすると監査法人は効率的な作業ができず余計な時間がかかってしまいます。事前にすり合わせることで、余計なやりとりや見解の相違も生じず効率よく作業を行うことができます。
監査法人を変えるほどではないが、監査報酬でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
経理部の負担を増やさずに監査時間を減少させる(監査報酬を増加させない)方法は必ずあります。