相続税の基礎知識②
相続税対策として、よく賃貸等不動産の取得を勧められます。なぜ「賃貸等不動産の購入が相続税対策になる」かをお伝えさせていただきます。
1億円をどのような資産でもつかによって支払う相続税額が変化するかを単純にしました。
【Ⅰ】現金で10,000万円所有→相続税額2,300万円(10,000万円に対する税率(30%)から控除額700万円)
【Ⅱ】10,000万円で自分が住む家屋を立てた→相続税額1,400万円(固定資産税評価額7,000万円※に対する税率(30%)から控除額700万円)
【Ⅲ】10,000万円で他人に賃貸する家屋を立てた→相続税額780万円(固定資産税評価額7,000万円※×(1-借家権(30%))に対する税率(20%)から控除額200万円)
※固定資産税評価額はおおむね購入価格(建築費)の5割から7割程度と言われております。
【Ⅰ】と【Ⅱ】で、900万円の差がでています。これは、10,000万円で建てた家屋の固定資産税評価額が10,000万円とはならないためです。ここで節税効果が表れます。
【Ⅱ】と【Ⅲ】で、620万円の差がでています。これは、簡単に言ってしまうと他人に貸している部分の一部は借主の持ち物と考え、計算上減額していいものとなっております。ここが更に節税効果が表れる部分となります。
これが「賃貸等不動産の購入が相続税対策になる」理由となります。
現金で持っているメリットもあることも、是非頭の片隅に入れておいてください。現金で持っているということは残された方に簡単に配分できますが不動産だと複数人に配分することは困難となってきます。相続税額は高くなりますが、もめる原因になりにくいのが現金です。ここはどちらがよいかは人それぞれになってくるかと思いますのでよく検討が必要になる箇所です。
ここには3年以内ルール(3年以内に亡くなった場合、3年以内の相続対策はなかったことにする相続税法上の決まり)等を考慮せず、節税の仕組みを示すことを目的として単純化しているものとなりますことご注意ください。